車載電子部品メーカーで25年、生産技術を担当してきた多田です。
ポッティングや放熱材塗布の工程を立ち上げるたびに、いちばん手を焼いたのが硬化物の中に残る泡でした。
泡は、どこで入ったのかが分かれば対策が立てられます。
この記事では、2液の混合吐出で泡が入る主な入り口と、現場ですぐ試せる対策をまとめます。
放熱材に泡が残ると何が困るのか
空気は熱をほとんど通しません。
東北大学 流体科学研究所の伝熱工学の講義資料では、厚さ100μmの空気層の熱抵抗が、厚さ1mのアルミニウムとほぼ同じだと示されています。
ギャップフィラーの中に泡が残れば、そのぶん熱の通り道が細くなります。
見た目だけの問題ではない点を、まず押さえておきたいところです。
泡が入る4つの入り口
| 入り口 | よくある場面 |
|---|---|
| 原料に最初から入っている | 入荷時、タンクへの詰め替え、解凍した直後 |
| 装置の中に残ったエア | 材料の補充後、ミキサ交換後、立ち上げ直後 |
| 塗るときの巻き込み | 吐出が速い、ノズルとワークが離れている |
| 化学反応で出るガス | ウレタン系で、材料や部品が水分を含んでいる |
原料と塗り方の二つは、ディスペンサメーカーのナカリキッドコントロールも技術コラムの中で泡の原因として挙げています。
装置の中に残ったエアは、私の経験では材料を補充した直後に出やすい泡です。
タンクが空になる前に補充し、補充のたびにエア抜きをする習慣をつけるだけでも、泡の出方はかなり変わりました。
ウレタン系は特に注意が必要です。
日本ウレタン工業協会の解説ページでは、ポリウレタンの代表的な反応のひとつとして「尿素結合と炭酸ガスの生成(発泡反応)」が挙げられています。
湿気の多い日にだけ泡が増えるなら、私はまず水分を疑います。
目に見えない泡もある
見た目に泡がないからといって、安心はできません。
宮城県産業技術総合センターの研究報告では、2液型シリコーンを攪拌したあと、目視では泡を見つけにくかった試料でも、3kPaの真空中に1分置くとかなりの気泡が発生したと報告されています。
細かい泡は、硬化してから目立ってくることもあります。
「見えない泡が混ざっているかもしれない」という前提で工程を組むほうが安全です。
現場でできる対策
私が現場でまず確かめてきたのは、次の5つです。
- 入荷した材料は、必要に応じて脱泡してから使う
- タンクやカートリッジへの詰め替えは、静かに流し込む
- 材料の補充やミキサ交換のあとは、捨て打ちしてから本番に入る
- 吐出速度を落とし、ノズルをワークに近づける
- ウレタン系は開封後の容器を密閉し、吸湿させない
それでも泡が減らないときは、装置側を見直します。
粘りの強い材料ほど、ポンプや配管にエアがたまりやすいからです。
ナカリキッドコントロールの微少量用2液型ディスペンサ「νシリーズ」は、製品ページで「高粘度液剤でもエア抜きがしやすいポンプ構造」をうたっています。
フィラーを多く含む高比重の放熱材を扱う様子は、放熱用ギャップフィラーを計量・混合吐出するデモンストレーションで見られます。
まとめ
混合吐出の泡は、原料、装置、塗り方、化学反応のどこかから入ります。
まずは、表の4つの入り口のどれに当てはまるかを切り分けてみてください。
捨て打ちや吐出速度の見直しは、今日からでも試せます。
それで足りなければ、脱泡の工程や装置の構造まで広げて考えるのが近道です。



